核分裂・核融合炉壁材料は、高エネルギー粒子の照射を受けて損傷を生じ、その
機械的性質が劣化する。これに関与する点欠陥集合体(ナノサイズの転位ループ)の
動的挙動が解析された。
鉄試料に対し超高圧電子顕微鏡を用いて、高エネルギー電子照射を行い、形成される
転位ループの挙動をその場観察した。転位ループの移動の頻度および距離が照射条件
に対してどのように依存するのかを調べ、ループの移動機構の解明を目指した。
高エネルギー電子照射によって試料中に
導入されたナノサイズの転位ループを示す。
転位ループのうちBurgersベクトルが
1/2<111>のループは、高エネルギー
照射下でBurgersベクトルの方向に沿って
一次元往復運動を行う。
電子照射下での損傷の発達過程
(9.2×1022 e/m2s, 235K)
電子照射下での転位ループの移動の様子
(1.2×1024 e/m2s, 190K)