むし歯を効果的に予防するため、歯磨きした際にナノサイズのフッ化カルシウム
(CaF2)微粒子を形成させ、歯の表面に凝集させる技術が検討されている。
フッ化ナトリウムとグリセロリン酸カルシウム/MFP(モノフルオロリン酸ナトリウム)の
二剤処理は、従来のフッ素イオンによる処理に比べ、酸性条件下で歯質へのフッ素
供給量が高くなり、耐酸性が向上することが報告されている。
本支援研究では、生成する歯質上のCaF2の微細構造解析を行い、グリセロリン酸、
MFPが CaF2のナノ粒子化および HAP(ハイドロキシアパタイト)上への被着に寄与
していることを明らかにした。
(a) FE-SEM 観察結果
(b) HRTEM 観察結果
これらの観察から CaF2の結晶
サイズ(一次粒子径)と処理剤
(リン酸塩)の CaF2への吸着量との
関係から、2つのリン酸塩は、乳酸
塩に比べて CaF2に多く吸着し、
微粒子効果が大きいことが分かる。
A: NaF
B: 乳酸カルシウム
C: 乳酸カルシウム+MFP
D: グリセロリン酸カルシウム+MFP
A-B,A-C,A-D:
各液の等量混合溶液を示す。
FE-SEM 観察結果
A-B では、約 100nm の大きい球状の CaF2 粒子(二次粒子)が付着しているのに
対し、A-C、A-D では、約 50nm の CaF2 粒子(二次粒子)が HAP ペレット上に均一に
強く被着している様子が観察された。