最新のプラズマコーティング技術を駆使して、使用中に折損などが生じることがなく、
また採取した組織片や病変部に刺した穿刺針の周りの細胞に悪影響を及ぼすことの
ない、人に優しい画期的な医療用セラミック被覆穿刺針が開発された。その開発に
おいて、生体組織片の観察に電子顕微鏡が有効に用いられた。
新たに開発されたセラミック被覆穿刺針を用いて採取したラットの肝臓の組織の
微細構造を観察し、従来のステンレス穿刺針の場合と比較した。
新たに開発されたセラミック被覆穿刺針は、千葉大学医学部等における動物実験の
結果からきわめて有効であることが実証されている。又、工業化の検討もなされており、
実用化の可能性が極めて高い。
このような開発にも電顕センターの顕微鏡が活用されている。
ステンレス穿刺針(上図)
組織の変形度合いが大きく複雑であることが分かる。
セラミック穿刺針(下図)
組織は、一つの塊として抽出されている。
組織表面
セラミック穿刺針を用いた場合は、
ステンレスのときに比べ平滑であった。
細胞組織に悪影響を及ぼす領域が
小さいと考えられる。
干渉顕微鏡写真
ステンレス穿刺針(上図)
組織表面では、細胞が途中で引きちぎられた状態が多く、
また、切断面に隣接する細胞には、物理的損傷が見られる。
セラミック穿刺針(下図)
切り取られた組織の表面は比較的平滑で、細胞中央で
その形態が乱れることなく鋭く切断された状態。