超高圧電子顕微鏡は、細胞の機能解析にも利用されている。
厚い試料を観察できるため、植物細胞の構造をより生体に近い形で観察が可能である
ためである。

 植物は、自己花粉での受精を抑制するシステムを進化させてきた。自家不和合性も
そのシステムの一つであり、アブラナ科植物では、その解析が遺伝子、タンパク質
レベルで行われてきたが、その全容はまだ明らかではない。
 本研究では、細胞内微細構造の変化に着目した解析を超高圧電子顕微鏡で行った。
 2〜5μm厚の試料の観察から、受粉時には、細胞内の液胞、特に小型液胞の形態が
変化すること、この液胞構造はアクチン細胞骨格と密接に関連している可能性がある
ことがわかった。
受粉前の植物細胞のトモグラフィー
自家受粉後の植物部細胞の
トモグラフィー
アクチン重合阻害剤添加、自家受粉後の
植物細胞