電子顕微鏡開発とその応用技術は、我国がこれまで世界的にリードし、今後も最先端を走り続ける分野です。世界に1台しかないユニークな電子顕微鏡を我国の先端的研究機関に設置して、これを用いて真に世界初の研究を行うことが我国の電子顕微鏡学の優位性を将来にわたって不動のものとする上で、是非とも必要です。その中でも、超高圧電子顕微鏡による学術研究は、我国ならではの特色ある研究分野の一つであり、学術戦略上も重要な学問領域と位置付けらます。大阪大学超高圧電子顕微鏡センターは、過去40年間にわたりこの分野を牽引してきました。
超高圧電子顕微鏡センターは、世界最高加速電圧の300万ボルト超高圧電子顕微鏡ならびにその周辺装置(補助電子顕微鏡を含む)を保有する学内共同教育研究施設です。「世界最高加速電圧300万ボルト超高圧電子顕微鏡を中心とする電子顕微鏡を利用した物質材料科学研究、医学生物学研究を、学共として、学内・外の研究者と協力して共同的に推進する」という理念に掲げるように、この世界に誇る超高圧電子顕微鏡ならびに周辺装置の特色を充分に活かした自然科学研究を遂行するとともに、それに立脚した教育を行うことが本センターに求められています。
こうした背景から本センターは、研究、研究支援、および、教育からなる3つの使命を果たすことを目的として活動を行っています。研究については、センター所属の教職員が実施する研究(内部提案型研究)に対応するものであり、300万ボルト超高圧電子顕微鏡の優れた試料透過能を中心とする特徴を活かして、材料科学への応用研究、医学生物学への応用研究、ならびに装置・観察手法の開発研究等を推進しています。研究支援については、300万ボルト超高圧電子顕微鏡ならびに周辺装置を利用する学内研究者の微細構造研究を支援するものです。こうした微細構造研究分野の進展を促すために、事情の許す範囲内で、国外研究者を含む学外研究者の共同利用・共同研究も受け入れてこれを支援しています。教育については、内部提案型研究活動に立脚して行う教育活動に対応するものです。協力講座・協力領域として参画する工学研究科の教育に貢献するほか、部局横断的な教育プログラムならびに社会人教育プログラムにも参画して、それぞれ本学大学院生ならびに社会人に対して電子顕微鏡法の基礎と応用について教育活動を行っています。
本センターは、超高圧電子顕微鏡による学術研究における我が国および国際的な中核拠点としての役割を果たすべく活動を続けています。